わしの日記
2024/04/18 (木)
映画
ファイナル・アワーズ
オーストラリアの映画なんだそうです。4月来、わしは自分の時間が多少持てる生活に変わったので、読んだり観たり聴いたりしたものを記録しておこうと思いたった。amazon primeで観た。観たきっかけは、YouTubeのSF映画紹介。最初に書いておくと、確かにSFと言えばSFなんだろうけど、パニックものの変種と考える方が、わしは、しっくり来る。ま、ジャンルはどうでもいいや。
ファイナル・アワーズ (2013・オーストラリア)
監督 ザック・ヒルディッチ
出演 ネイサン・フィリップス, アンゴーリー・ライス, ジェシカ・デ・ゴウ ほか
まず、そんなに長くないので、ながら鑑賞で最後まで耐えられた。
隕石か何かが落ちて、あと12時間で映画の舞台(オーストラリアかしら)の主人公の住む地にも大衝撃波だか熱波だかがやってくることになり、つまり、『あと12時間で世界が終わる』という話。
主人公は、彼女を置いてきぼりにして友人たちのいる場所へ行こうとするんだが、途中で、犯罪に巻き込まれた少女を助けてしまう。姉夫婦を訪ねると、既に二人とも自殺している。少女を連れて、友人の家に行くとそこは乱痴気騒ぎ・ドラッグ・乱交のオンパレード。主人公ものっけから、鼻から粉か何か吸ってて、オーストラリア人の生活ってこ~ゆ~のが普通で自然なことなのかね? 大震災のとき、日本人は物資受け取りに整然と並び、暴動や略奪も起きないって外人が驚いてたらしいけど。
この映画、あまり人は多くない。特にパニック映画で定番の「逃げまどう群衆」など、カケラもありません。一番大量に出演者が登場するのがこの、友人兄妹の自宅だか別荘だかわからんが、大勢が集まり、自暴自棄に乱痴気騒ぎする、このシーン。時間としては長くないが、ひとの多さ、やかましさでは一番だ。
ここだけ見ると何の映画かわかりませんよ! ウッドストックか何かのドキュメントに見えるかも。
ここもカメラが主人公視線で動くし、例外を除いて、ひとりひとりを掘り下げるシーンではないから、あっという間に画面から消えます。姉夫婦の遺体も、ホント、一瞬しか映らなかったけど、カメラワークは同じです。もしもですよ、このモブシーンでの出演者が自慢するとして、「ほら、この、女の下で腰を使っているのが俺だ、あ、見逃した? よし巻き戻すぞ、あれ、戻りすぎた、どこだっけ」なんて言いながら、友人や知人に見せるんだろうか? いや、見のがすぐらい一瞬の方が、本人の名誉のためにいいのではないか。見せられる方だって、何と言っていいか言葉を選ぶだろう。「見たくねーよ」と言いずらい関係だったら、本当に困るよな。わしだったら、絶対イヤだぞ。死後、ご先祖様に合わす顔がないでしょう。
そのあと、どうやら疎遠な関係にあった母を訪ねるシーンがあり、その描写は、なかなか気にいった。
例によって、人物の背景とか掘り下げる気はサラサラないようで、いろいろ想像しながら観なければならないんだが、特に悪い気もしない。
それに、このエピソードによって、ストーリーとしてなにか盛り上がるわけではない。
いや、この映画は、もともと盛り上がりなど無いのである。
ただ、最後の時が来るまでの、ある面では不条理な、主人公たちの心の揺れと、筋が通っているような通っていないような行動、そして、静かに兆す破滅の予感を淡々と描いているのである。
車が通る交差点に、首つり自殺がぶら下がっていたり、道端で何をしているのかわからない奴らや、そのそばに転がる死体、クラッシュして燃えている車など。低予算でがんばっているぞ!
少女の両親は、少女が言う"おばさんの家"に来ていたことが、家の前で乗り捨てられた車でわかる。しかし、誰もいない。少女と違う方角を調べていた主人公は、少女より先に、彼女が慕う父を含め、既に全員が集団自決していたのを見つけてしまう。主人公は少女がそれに気づくのを恐れ、一度は止めるのだが、言う事を聞かない少女は父の遺体と対面。残ると言い出す。
主人公は助けた少女と別れ再び車で、映画の最初にいた場所に戻ろうとする。
車がオーバーヒートして、仕方なく自分の足で走り出す描写があるが、これも、熱波が目前に迫っているという表現なんだろう。
部屋にはいないが、浜辺にひとり佇む彼女を見つける。ふたり、口論したり抱き合ったりしつつ、襲い来る熱波に呑まれて終わり。
映画評では、「主人公はなぜ少女を助けたかわからん」という声をいくつか見たけど、わからなくていいんじゃないかしら。もともと、成り行きで助けた少女だし、主人公の行動も、見る限り行きあたりばったり。ただただ、根は優しい男なんだな、と感じさせられるばかりで、不自然さは、わしは、特に感じなかった。
……一番気になったのは、ラストの、大衝撃波?熱波?の押し寄せ方が遅くないかな。恐竜大絶滅の想像CGをよく見かけるけど、あれだと、強風どころではない、目にもとまらぬ速い流れが、びゅーっ!!と全てを吹き飛ばすイメージだったので、あんなに、遠景に押し寄せる熱波を見ながら、恋人とケンカしたり仲直りしたりする暇あるんかいな? とちょっと思った。隕石落下地点が遠いとしても、地球全体を覆う衝撃波なんだから、もうちょっと速いんじゃないかと思ったんだが、誰か計算してみて。