わしの日記
2024/12/04 (水)
読書
3年後に世界が中国を破滅させる 島田洋一
先日の衆院選で、日本保守党から3名の代議士が当選したのはご存知の通り、そのうちのひとりが、島田洋一氏である。
この先生の言説をちゃんと読もうと思ったきっかけは、飯山陽の対談本をめくったか、YouTubeにゲストで出ていたか、もう忘れてしまった。余談だが、飯山氏の現状は、巷間知られている通りであり、わしもチャンネル登録はだいぶ前に消した。だから、現状の狂乱ぶりは知らない。ゆえに、ここに辛口の批判を重ねて書くことはしない。貴重なイスラム研究者だと思っていたのだが……
最初に買った島田先生の本は「アメリカ解体」(ビジネス社)である。すげータイトルだなと思ったが、別にアメリカ合衆国が解体するというような話ではない。続けて買ったのが、「トランプで世界はこう変わる!」(WAC)である。
本のタイトルというものは、あまり気にしないほうがいいな、と考え出したきっかけは高橋洋一氏の著作を、数冊買って読んでからである。どういうことかというと、タイトルはセンセーショナルでいかにも安っぽいんだが、本文・中身はしっかり読み応えのある本というのが、この世にはあるんだ、と気づいたからである。同氏はご自身のYouTubeで、自著のタイトルは出版社が勝手につける、と言っていたので、そんなもんかいな、でも、気にして口に出したほうがいいんじゃない?と思ったものだが……。この島田先生の一連の著作も、同じように、激しくキャッチーなタイトルで、かつ、中身と一致してないように思う。
出版業界の事情というものなのであろうか?!
今回採り上げた本も、同様である。何しろこの本は、2020年9月の出版であるから、なんでもケチをつける向きからは『破滅してないぢゃないか!』と、内容そっちのけで非難の声が上がりそうである。
主に4年前のアメリカの状況に基づいて、具体的に政治家の名や特徴をあげての分析、そして予測が書かれている訳である。
現状に照らして、実に的確であったことが感得できるし、非常に興味深く、読んでいて飽きない本である。
日本のマスゴミが採り上げるのはカマラ・ハリスばかりだったが、今のところあまり名前を聞かない米民主党界隈の人物名も、頭のなかにメモっておいて、今後注視しよう、と思ってしまう。
内容をそのまま書き写す訳にもいかないので、内容とは一歩離れた視点で、ひとつ書きたい。
それは島田先生の文章の良さ、である。
文学的な意味で名文ではないかもしれず、簡潔にしてつっけんどんな印象すら持たれそうだが、読み解くと実に情報量が豊かである。無駄がない文章のひとつの典型とは、こういうことかしら、と思う。先生の頭の中で、論理がしっかり組み立てられ、それを無駄なく文章に写し取るから、こうなるんだろうか。
先生が衆議院で提出した質問趣意書や、Xでのツイートも同じように無駄なく鋭い。私も含め普通の人間だと、屋上屋を重ねる修飾を、たかぶる感情で抑えられず付け加えてしまいがちなのだ。
その端的な例として、冒頭のこの文章を採り上げてみる。
3年後に世界が中国を破滅させる 島田洋一 (ビジネス社) p.6
バイデンは認知症の進行が取りざたされるが、それがまた「自分たちがコントロールできる」と左派における支持率を押し上げる倒錯現象を生んでいる。
現在の石破内閣は、圧倒的に信頼なく支持率も低いのだが、くみしやすし、と見る野党が、続投を密かに期待するために延命できている。なんとも複雑な気持ちにさせられる現状であるが、4年前のアメリカ政治についての上記文章は、それに似ているといえば似ている背景を、簡潔に説明しているのである。そして、いま私が書いたような長い文章ではなく、「倒錯」とひとことで言い切ることで、見事に状況を表現していると思う。
簡潔といえば、Xのツイートでいつも感心させられる一色氏はさらに短いが、政治的スタンスはもとより、文章組み立てとして、ちょっと近いものを感じる。
一方、百田さん(ここだけ勝手な一方的な親近感をこめて、会ったこともないのに「さん」付けになる)のツイートや動画は、感心しないことが多々ある。(笑)
そんなとき思うのは、この方は、表面は関西人としてバカなことをやる一方、私財と平穏な生活の楽しみを投げうって、国のために尽くしている人でもあるという、その一点である。この方の真意は疑うべくもない。近頃思うのだが、保守勢力が結集しにくいのは、あれが違う・これが違うとこだわりの多い方が多すぎるので、いっそ、批判されまくるちょっとオカシイぐらいのバイタリティを持った方が中心になったほうが、結集の核として、マシなんではないかということである。
トランプもそうなんだけど、金持ちは既存の勢力や利権(トランプの言葉でいうDS)に縛られないので、今のやたらパヨク・リベラル化したアメリカでは、結果として、すごくまともなことを言えてしまう。……というのは乱暴な要約にすぎるけど。イーロンも怪しいけど、いまのところはそう見える。
金持ちしか、まともな保守政治家になれないとしたら、それはそれで困るんだが。(笑)
さて来年、その先、どうなっておることでしょうか。