わしの日記
2003/10/23 (木)
生産性の船(洋上研修)3/8
プサン上陸
プサンに上陸する。
明け方、起床と同時にデッキに出て、入港しつつある港を眺め、写真を撮った。
一ヶ月ほど前の台風は、プサンも直撃し、クレーンが倒れたと聞いていたが、そのような傷痕はみじんも感じなかった。活気がある。
3,000円を、31,100ウォンに換金した。午前中は、バスで、集団行動である。
非常に平地が少ない、というより、街全体が斜面になっているように思える。龍頭山公園もそうだが、特に展望しようと思わなくても、斜面あるいは崖と言ってもいいような場所さえ、何らかの建物がへばりついて建っている。プサンは日本と違って、地震対策というものが必要ないようである。(あるいは必要と思われてないようである)
この時期でも、船を降りるとトンボが居た。この後訪れる魚市場でも、軒先の魚に、トンボが止まるのを見た。
プサンタワーは、割と閑散として、少々子供だましな感じを受けた。むしろその前に建っている、銅像や記念碑に、韓国人の歴史感覚を垣間見る気がした。革命の犠牲者の名前などが、実に丁寧に彫り付けてある。
国際市場は、碁盤目に入り組んだ、雑然とした商店の集まりである。スーパーマーケットにも連れて行かれたが、日本のスーパーと同じである。レジの後ろに大勢で集まり、いい年をして3列に並び、人数確認をしている我々を、現地の主婦達は何者だと思ったであろうか?? その後、チャガルチ市場では、日本では見ない、変わった魚を売っているのを見た。市場の様子は、日本で言うと、私の育った札幌の「二条市場」に似てるだろうか? 呼び込みが多い。しかし後で気付いたが、それは、観光客目当てなのである。私から見ると、現地の人も、私も、同じような顔をしていると思う。だが、現地の人は、私が観光客であると、ひと目でわかるようである。それが不思議だった。自分でショーウィンドウに映る自分の姿をチェックしても、普段会社に行くのと同じカバンをもって、ぷらぷらしている、力のなさそうな東洋人、という以外、なんの特徴もないと思うのだが。
日本語の看板は多いが、少々誤解がある。「カラオケ甲子園」なんてのはまだいいとして、「江戸前寿司 大阪」というのは、もしかして日本人を笑わせようと思ってつけたのだろうか? また、フグの絵を大きく書いた「寿司屋」もあった。私は入らなかったが、値段は安い。仲間の話では、それはそれは、寿司らしくない味であったそうだ。
しかし、おそらく外国人が日本の町並みをながめると、英語あり、フランス語あり、何語だかわからない看板もあり、同様の違和感があるのかも知れない。それを私は知ることができないが、想像はできる。
昼食は『レストラン「宮殿」』と、予定表にあったので大いに期待したが、私の知識範囲で似たものに例えれば、近所の中華食堂の二階の座敷、という感じであった。ビールは「Hite」という、なかなか薄味で、酔いの回らないものを4000ウォンで飲んだ。隣の人はコカコーラを飲んでいたがこれが3000ウォンであった。どちらかの価格設定がおかしいと思うのだが、よくわからない。(たぶんコーラが高すぎる)
辛いものが苦手なひと(例えば私だ)のため、「あまり辛くない水キムチ」が用意されていたが、これも私には辛かった。しかし、石焼きビビンバはそれなりにちゃんとした味だったので、キムチ無しでも、食べることが出来た。
午後は、ロッテデパートの免税フロアまで連れて行かれて、そこで解散、という少々、商売ッ気が露骨すぎるスケジュールである。私は当然ながら何も買わず外へ出た。私のチームのメンバーは、みなオプショナルに参加したりして居なかったし、私自身は行動的な方ではないので、本屋にでも行って、韓国の本を読んでみたいと考え、独りでぶらぶらすることに決めたが、歩いていると、結局、誰かしら知り合いに会うのだった。(みんな同じところをうろうろしている……)
なお、免税フロアのショップは、一応全部チェックしたが、特に韓国について考える材料は無いように思われた。
むしろ、面白いのは、一般客も歩いている、デパートの他のフロアである。
コンビニなどでもそうだが、一見、日本と同じようでも、よく見ると、国情の違い(?)がそこここに見つかるのである。カップ麺やお菓子など、日本のそれを、文字だけ変えただけに見える。しかしよーく観察すると、やはりキムチ味の飴など、文化の違いを感じるものが置かれている。(いや考えすぎかも知れない、もしかするとこのコンビニは、観光客向けだったのかも知れない)しかし、例えば、明らかに住民向けの生活必需品でも、何かちょっと違う。例えば、トイレットペーパーを売っていたが、横に6個並べて包装した、大きなサイズで売られている。日本では、こんな大きな包み方はしないだろう。何らかの文化的、あるいは歴史的な理由があるのだろうか?
店員がすぐ寄ってくるので、気になって辺りの配置をチェックしながら各フロアを散策したが、とにかく店員が多い。日本で、デパートで、店員の数を数えたことがないので何とも言えないが、多いと思う。また、寄ってくるのが速い。例えば、スーツ売り場で、周りに誰も居ないのを確認して、スーツの値札を見ようとすると、横のマネキンの影から店員が突然飛び出してきて、何か言う。さっきまでは気配も感じなかったのに、不思議である。
家具コーナーでは、少々古い感じのデザインが多かったが、とにかくソファーが横に長いものがあり、驚いた。日本の住宅事情ではあり得ないサイズである。家族みんなで横に並ぶのであろうか?しかし、韓国の住宅がそんなに広いという話は聞いたことがないが、私の勉強不足であったのかも知れない。
CDやDVDは概して安かった。また、YAMAHAのクラビノーバなども置いてあり、日本の3/4程度で売っているように思えた。大変不思議なことだが、日本語でタイトルの入ったベスト盤も売っていたりする。これを買って帰っても、誰もプサンみやげとは信じないであろう。
もっとも一番不思議なのは、DVDと音楽CDとゲームソフト、まとめて、二つの棚に押し込んで売っていたことである。商品を順番に眺めていると、確か音楽CDを眺めていたはずが、途中から野球ゲームに変わっている。あれ?と思ってそのまま目で追っていくと、今度はアクション映画に変わっている。日本ではあり得ないことである。そういえば、独立したCD売り場というのは見なかった。数が少ないのであろうか?それともこのデパートだけだろうか?
おもちゃといえば、PS2も展示されており、GBAやGAME CUBEが無いことを除けば、日本のおもちゃ売り場と変わらないように思う。(最近行かないので自信はない)もちろん、パッケージのタイトルは、韓国語である。ファミコンとNES、スーパーファミコンとSNESのように、日本国内用と輸出用でカセットの形自体を変えるのではなく、そのまま売るという点に、SONYの世界戦略を感じつつ、次世代GAME CUBEはどうなるのかとふと考え込んだが、これは韓国に来ていることとはあまり関係がなかった。
隣のPC売り場にあるPCは、皆、最新型であった。日本と同じで、Windowsが幅を利かせている。展示されたXPの左下隅のボタンは、「START」でも「スタート」でもなく、ハングルである。
家電コーナーでも、GE製の700リットル以上の巨大冷蔵庫が主力であった。日本の家庭、特に今時のマンションでは設置できないサイズである。(普通の家庭では500リットルクラスどまりでは?)値段は、日本円換算で20万以下程度だったから、やはり安いと言える。
日本では決して売っていない(少なくとも主力商品ではないだろう)キムチ保存庫が多かった。高さは洗濯機より低いぐらいで、皆、上面の蓋が開くようになっている。蓋を閉じているときは、調理台とか、一時的な物の置き場として使えるように、という配慮だろうか。帰国してから知ったが、今、韓国では、この商品が大ヒットしているのだそうだ。値段は、先程の冷蔵庫より安いが、それでも日本円で数万~十数万である。安い買い物とは思えないのだが。
上階がレストラン街になっているのは、日本と同じである。ピザ屋や、スタバなどがある。先ほど紹介した「大阪」という江戸前寿司も、ここにある。人々の様子や服装は、日本人と変わらない感じがした。若者の外見、口調も、日本語ではないという一点を除けば同じように思えた。
実はロッテデパートは、その上にもう一つフロアがあり、ゲームセンターと、シネコンというのか、映画館が10以上集まっていた。また不思議なことだが、ここにセブンイレブンがあった。ちゃんと、街角にある普通のセブンイレブンと同じ外装を、そっくりそのまま、フロア内に建てていた。売っているものは別に不思議なものではなかった。
このフロアは、若者ばかりであったので、しばらく様子を観察しようと考えた。特に、発音をじっくり聴きたかったので、ついでに休憩も兼ねて、映画を観てきた。全席指定席なのと、とにかく言葉が通じないので、チケットを買うのは非常に苦労した。最後は、コンソールの画面を自分で押させてもらって、席を指定した。
チケットを見せて入場するところでも、止められて何か言われたのだが、困った顔はされても、怒りはしていないようだったので、最後まで日本語で押し通してしまった。たぶん、「まだ上映が始まってないから入れ替え時間まで待て」ということだったのだと思う。
たぶんこのような友好的な対応をしてもらえたのは、比較的、観光客慣れしているロッテデパート内であったから、だとは思う。
映画自体は洋画で「once upon a time in Mexico」、それをハングルの字幕で観た。ちゃんと、上映の合間に、近所の店のコマーシャルをやっていたり、火災の際の避難路の表示をしたり、コマーシャルする店が風俗店だったり、と、日本の小さな古い映画館と変わらない。周りは若者ばかりで、くっちゃべっているその感じも、日本とぜんぜん変わらなかった。言葉も、よく聞くと、あ、日本語じゃないんだ、と思い出すぐらいに違和感がない。
さて、映画のせいで、ロッテデパートを出て外を探検する時間がなくなり、急いでバスに戻って、当日の行動は終わりとした。同室の××氏とバスで会ったところ、実弾射撃をさせてくれる場所が近くにあるらしいとカタログを持ってきた。ふたりとも、特に興味はないので行かなかったのだが、おそらく、そのようなことを目当てに観光に来る者も少なくないのだろう。なかなかに凝ったチラシであった。
残念なのは、本屋が見つからなかったことである。見逃したのだと思うが、もしかして、韓国のデパートには本屋を置く習慣がないのだろうか?(そんなことは無いと思う)